トイレの詰まりの原因として、浄化槽が挙げられるケースがあります。
浄化槽とは排尿・排便などを処理する仕組みで、トイレを利用する上で必要不可欠なものです。
トイレの浄化槽による詰まりを放置すると、トイレが正常に利用できなくなる以外に普段の生活に大きな支障をきたします。
そこで、本記事ではトイレの浄化槽について詳しく紹介します。
本記事のポイント
- トイレの浄化槽について
- トイレの浄化槽の種類
- トイレの浄化槽が原因でトラブルが起きた時の対処法
上記について深掘りしていきますので、浄化槽が設置している方はぜひ参考にしてみてください。
トイレの浄化槽って何?
そもそも浄化槽とは、汚れた水を微生物の働きによって洗浄し、自然に放流する役割を持っています。
もともとトイレの浄化槽のみとされていましたが、現在ではお風呂や洗濯機など、各家庭に設置されている施設です。
各家庭に浄化槽がないと汚水をそのまま自然に放流することになり、環境を破壊するリスクにつながります。
そんな家庭から出る汚水を洗浄する浄化槽について、次項で詳しく紹介していきます。
トイレの浄化槽の特徴・役割
先述した通り、浄化槽は家庭から出る汚水を微生物の働きで洗浄し、自然に返す役割を持っています。
浄化槽がおこなう洗浄方法は多岐に渡りますが、一般的に採用されている「嫌気ろ床接触ばっ気方式」について紹介します。
嫌気ろ床接触ばっ気方式の洗浄手順は、以下の通りです。
嫌気ろ床接触ばっ気方式の洗浄手順
- 汚水が入った嫌気ろ床槽にろ過剤と微生物の力で溶解性の物質を除去
- 嫌気ろ床槽にも先ほどの汚水が入り、同様の除去作業をおこなう
- 全ての工程を終えたあと、接触ばっ気槽に洗浄された汚水が入る
- 接触ばっ気槽に入った汚水は沈殿槽に送られ、微生物の汚泥を沈殿させる
- 全ての工程を終えた汚水を塩素剤で消毒し、自然に放流する
上記の手順で、家庭から排出される汚水をキレイな水にして自然へと返しているのです。
浄化槽以外にも!トイレの排水の仕組み
先ほどは浄化槽の特徴や洗浄方法について紹介しましたが、浄化槽以外にも汚水をキレイにする方法は存在します。
そこで、ここからはどの家庭にも採用されているトイレの排水の仕組みについて紹介します。
排水処理
トイレの排水システムの一つとして、排水処理があります。
浄化槽と同様に汚水をキレイな水にする処理はおこないますが、流れてきた汚水を下水処理場や浄化センターへ送ります。
また、排水処理では家庭から出る汚水以外にも、以下のようなものも洗浄対象例です。
洗浄対象例
- 雑排水
- 雨水
雑排水はトイレから出る排水に近いですが、正確にはキッチンやお風呂から出る排水のことを指します。
また、浄化槽の洗浄にはありませんでしたが、排水処理の場合は雨水も洗浄対象となります。
下水道
一般的に下水道と呼ばれるものは、その地域の自治体が管理している下水道のことを指します。
下水道は下水処理場とつながっており、各家庭から出る汚水もこの下水処理場で処理されることがほとんどです。
下水道がおこなっている処理方法も浄化槽と同じように、微生物の働きかけで汚水の洗浄をおこなっています。
また、どの家庭も下水料金を請求されることがほとんどですが、下水の利用量は正確に測ることが難しいとされています。
そのため、請求書などに記載されている利用量は上水道の利用量から計算されていることがほとんどなので、上水道からの利用量から下水の利用料金を算出するようにしましょう。
トイレの浄化槽の種類
トイレには浄化槽が設置されていることがありますが、その浄化槽にも種類があります。
トイレに設置されている浄化槽の種類を把握することで、浄化槽の交換に悩まされることや交換費用を無駄に取られることもありません。
そこで、ここからはトイレの浄化槽の種類や見分け方について紹介します。
単独処理浄化槽
単独処理浄化槽とは、排尿・排便するトイレで尿だけを処理する浄化槽のことを指します。
尿のみの処理しかできないため、排便はそのまま川へ排出されてしまいます。
また、トイレ以外も単独処理浄化槽が採用されているので、キッチンやお風呂で出る排水はそのまま川に流されるような仕組みです。
環境面の観点から次項で紹介する合併処理浄化槽の誕生を期に、2001年に法律で単独処理浄化槽の設置が禁止されました。
合併処理浄化槽
一方、合併処理浄化槽とは、トイレのみに関わらずキッチンやお風呂、洗濯機などから出る排水を処理する浄化槽のことを指します。
現在では合併処理浄化槽への交換が義務付けられていますが、田舎などで不動産を購入した場合に単独処理浄化槽が設置されているケースがあります。
単独処理浄化槽が設置されていると法律で合併処理浄化槽へ交換しなければならないので、下水設備が整っていないような地域で不動産を購入することを検討する場合は、浄化槽の種類を注意深く確認しましょう。
浄化槽の見分け方
浄化槽は処理の仕組みを把握しておけば簡単に見分けることが可能ですが、毎回浄化槽の処理システムを確認することはあまりありません。
浄化槽の見分け方として、以下のような特徴があります。
単独処理浄化槽 | 合併処理浄化槽 | |
ブロワ | 40L/分 | 60L/分以上 |
マンホール | 2つ | 3つ |
上記のように、物件などについているマンホールの数を確認することで、浄化槽を見分けることが可能です。
また、物件などを見比べる際に、不動産業者にあらかじめ浄化槽の種類を聞いてみることも浄化槽を確認する有効な手段と言えます。
浄化槽を「汲み取り式」と間違えることも
トイレの浄化槽の一つである「単独処理浄化槽」は、汲み取り式のトイレと勘違いしてしまう方がいます。
いわゆる「ぼっとん便所」と言われる仕組みですが、ぼっとん便所は尿や便がトイレの下にあるタンクに溜まっていく仕組みです。
しかし、単独処理浄化槽はタンクに溜まらず、そのまま川や海などの自然に排出されてしまいます。
また、ぼっとん式便所は排尿・排便の際に自ら汲み取るだけで済みますが、単独処理浄化槽の場合は尿のみしか処理されないので、排便できないデメリットがあります。
トイレの詰まりの原因が浄化槽である場合も
トイレの詰まりはさまざまですが、浄化槽が原因で詰まることもあります。
そのため、異物やトイレットペーパーなどを流していないのにも関わらずトイレが詰まってしまった場合は、ここで紹介する基準を参考にして適切な対処をおこないましょう。
単独処理浄化槽が原因の場合
現在の浄化槽ではあまり見られなくなった単独処理浄化槽の場合では、適切に処理ができていないことから詰まるケースがほとんどです。
単独処理浄化槽の場合は、バキュームで排尿や排便を処理するケースがほとんどで、汲み取り作業を定期的におこなわないとトイレの詰まりトラブルに発展することがあります。
下水処理場が整っていない地域で単独処理浄化槽が採用されている家庭があるかもしれませんが、まだ単独処理浄化槽を設置している場合は合併処理浄化槽への交換を検討してください。
合併処理浄化槽が原因の場合
合併処理浄化槽を設置している場合は、一般的な詰まりの原因と判断することは難しくなります。
なぜなら、合併処理浄化槽は排便や排尿などのトイレをはじめ、キッチンやお風呂の排水も浄化しているからです。
そのため、トイレの詰まりが全て合併処理浄化槽が原因とは判断しにくいケースがほとんどです。
合併処理浄化槽を設置していながらもトイレの詰まりが発生した場合は、トイレに異物やトイレットペーパーを流しすぎたといった出来事がないか確認するようにしましょう。
トイレの浄化槽トラブルは必ず水道の専門業者へ相談しよう
万が一、トイレの詰まりの原因が浄化槽の場合は、速やかに水道の専門業者へ相談しましょう。
トイレの浄化槽の詰まりは素人が対処できるトラブルではなく、専門的な知識と対処法が必要だからです。
また、素人が自己流で対処してしまうと余計に出費が重なり、莫大な費用がかかるリスクがあります。
実際に水道の専門業者へ依頼する際は、バキューム作業をおこなってくれる業者を探しましょう。
それに加えて、浄化槽の詰まり作業の経験が豊富な業者へ依頼することで、詰まり除去と合わせて浄化槽の洗浄もおこなってくれるケースがあります。
このように、トイレの浄化槽が原因で詰まりが発生した場合は、水道の専門業者へ依頼することがトラブルを速やかに解決できる手段です。
トイレの浄化槽には補助金制度がある
トイレの浄化槽の詰まりトラブルを水道の専門業者へ依頼する際に付きまとう懸念として、詰まり作業の費用が挙げられます。
当然、業者へ依頼するわけなので費用がかかりますが、トイレの浄化槽には補助金制度が設けられています。
補助内容は各自治体によって異なりますが、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽の交換や維持費などの一部負担などが主な内容です。
トイレの浄化槽の点検には水質検査があり、月に5,000円程度かかることも。
しかし、補助金制度を活用することで費用を抑えられるので、トイレの浄化槽で何かトラブルが発生した時は補助金制度を活用していきましょう。
トイレの浄化槽でのトラブルの際は速やかに相談しよう!
トイレの浄化槽が原因で何かトラブルが発生した際は、速やかに水道の専門業者へ依頼しましょう。
特に浄化槽の詰まりトラブルを放置してしまうと、正しく処理されなかったり悪臭の原因となったりしてしまいます。
トイレの浄化槽には補助金制度が設けられているので、修理費用が大きくなる前に相談し、補助金制度を利用して費用を抑えて修理しましょう。
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